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63.マルサスの人口論と現代社会との不思議な符号

世の中のあれこれ
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ブックオフで買った本

ブックオフで「人類超長期予測」という本を買いました。
この本の中でマルサスに触れていました。
そういえば人口論ってどんな主張だったっけと思ってちょっと調べなおしました。

トマス・ロバート・マルサスは古典経済学の発展に寄与した経済学者。
1766年に牧師の家庭に生まれ、ケンブリッジ大学で学ぶ。
1798年には『人口論』を執筆。
当時、イギリスではフランスとの戦争や物価の高騰などの経済問題が出現。
対策として救貧法改正の是非が議論されていた時期だったそう。

当時の救貧法は、パンの価格をもとに基本生活費を算出していました。
この基本生活費に収入が届かない家庭には、その差額分を補填していたそうです。
いまの日本の生活保護に似た制度のようですね。

マルサスは人口の原理を示しました。
そして、社会は貧者を救済できないし救済するべきではないと主張。
救貧法は貧者に人口増加のインセンティブを与えてしまうとして批判しました。

マルサスの人口の原理とは?

マルサスの人口の原理とは「マルサスの罠」として知られるものです。
人口は幾何級数的に増加し、一方食料は算術級数的に増加に留まる。
この差により人口過剰と貧困が発生するのは必然。
救貧法のような社会制度の改良では回避できない、との主張です。

  1. 人口増の継続が、生活資源の継続的な不足をもたらす
  2. したがって重大な貧困問題に直面することになる
  3. このような状況で結婚することや、家族を養うことは困難になる
  4. よって人口増はここで停滞することになる
  5. そして人口と生活資源の均衡が回復されていく

上記のような原理に従った現象が反覆されていることは疑いようがない…
とマルサスは述べています。

現代の日本に照らし合わすと

マルサスが活躍したのは18世紀のこと。
いまは食糧に関するテクノロジーも違えば、バースコントロールの状況も異なります。
なので、マルサスさんの懸念も杞憂でしたね、で終わらせられそうです。

ただ、前段の2,3,4項に書かれた
重大な貧困問題に直面し、結婚することや家族を養うことは困難になり、人口増はここで停滞することになる
って、なんだか今の日本を予言していたような表現ですよね。
マルサスは食糧問題を主にしており、そこが今の日本と少し違うところではあります。
いまは差し詰め、経済格差、教育費高騰、増税などが貧困問題の要因でしょうか。

しかし、貧困が人口増を止めるというのはズバリ当たっています。
まあ、少子化の原因を貧困と決めつけるのはマスコミが好きなやり方です。
私はそればかりが原因とは思いませんが。

貧困以外の要因

マルサスの主張の大前提は以下の2点です。

  1. 第一に食糧(生活資源)が人類の生存に必要である
  2. 第二に異性間の情欲は必ず存在する

これには全く疑問の余地はないですよね。
で、2の前提からなんらかの制約がなければどんどん子供は増えるということです。

ただ、現在は2の問題(?)を解消する様々な方法がいくつも存在しています。
それも子供ができないやり方で。
なので、パートナーも要らないし、結婚もしなくていいという人が増えています。
この辺の状況はさすがのマルサスさんも予見できていなかったでしょうね。

まとめ

とはいえ18世紀で貧困問題が人口増をサチらせると見通していたのはさすがです。
200年余り後の今、日本始め先進国でまさに少子化が進んでいるのですから。

過去は子供を産めば産むほど働き手(家計のプラス)として計算できました。
現在の途上国でもそうでしょう。
ただ、先進国では教育費が大きいため子供が多いほど家計の負担が増えます。
その違いは大きいですよね。

しかし、最近思うのは先進国で少子化が進むのはある意味、神の差配なのかと。
私は無神論なので、この場合の神というのは何かの摂理とでも読み替えてください。
AIの発展による省人化が具体的にみえてきたこのタイミングでの人口減。
(全世界的にはまだ人口増ですが)
まさに誰かがうまくバランスをとってくれているような気もする今日この頃…

あまり深掘りすると都市伝説っぽくなるのでこの辺にしておきますね(笑)

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