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54.金融市場のクジラ GPIF(年金運用機関)のポートフォリオ解析

資産運用
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クジラと呼ばれるGPIF

金融市場にはその豊富な運用資金量から「クジラ」と呼ばれる機関投資家がいます。
GPIF(年金運用機関)もそのひとつです。
先のブログでも記載しましたが、運用額は約246兆円となっています。

令和3年の年金のみの給付合計金額は約56兆でした。
(医療や介護の社会保障給付費を含めると年間の給付額はもっと多いですが)
なので、4年分は運用に回しているイメージでしょうか。

GPIFの保有銘柄は?

GPIFの23年度末時点の保有銘柄はGPIFのサイトにデータがあります。
個人的に興味があったので、どんな銘柄を保有しているのか少しだけ調べました。
債券や海外株式は訳が分からないので、国内株式のみ確認しています。

まずは、保有金額の多い順の10社のデータに所有率を加えました。
総時価総額に占めるGPIFの所有率(金額ベース)です。

No. 日本語名 数量 時価総額(円) 総時価総額 所有率
1 トヨタ自動車 848,638,700 3,245,288,011,200 51,981,304,000,000 6.24%
2 三菱UFJフィナンシャル・グループ 972,554,000 1,534,270,967,950 21,591,000,000,000 7.11%
3 ソニーグループ 110,999,700 1,446,343,740,000 18,900,000,000,000 7.65%
4 東京エレクトロン 34,806,600 1,384,946,875,800 16,837,289,000,000 8.23%
5 三菱商事 319,310,646 1,124,651,928,712 13,940,000,000,000 8.07%
6 日立製作所 77,637,200 1,085,393,121,000 17,160,000,000,000 6.33%
7 キーエンス 14,901,800 1,038,513,012,000 18,055,000,000,000 5.75%
8 三井住友フィナンシャルグループ 112,202,600 1,014,813,139,900 14,214,715,000,000 7.14%
9 信越化学工業 142,005,800 942,089,177,200 13,253,201,000,000 7.11%
10 三井物産 120,298,300 865,133,840,300 11,264,907,000,000 7.68%

所有率は5~8%台で特に恣意的な偏りはなさそうです。

次は保有時価総額が1億円程度と少ない銘柄のデータです。

No. 日本語名 数量 時価総額(円) 総時価総額 所有率
2053 イーグランド 64,200 104,517,600 9,964,000,000 1.05%
2054 ベルテクスコーポレーション 62,400 104,332,800 58,428,000,000 0.18%
2055 星和電機 183,900 104,271,300 7,612,000,000 1.37%
2056 コーセーアールイー 120,500 103,972,600 7,569,000,000 1.37%
2057 eWeLL 62,800 103,808,400 21,744,000,000 0.48%
2058 ヤマトインターナショナル 324,300 103,605,300 7,797,000,000 1.33%
2059 双信電機 215,700 103,320,300 8,175,000,000 1.26%
2060 ツカモトコーポレーション 77,900 101,285,000 5,181,000,000 1.95%
2061 ホクリヨウ 91,500 100,471,000 8,442,000,000 1.19%
2062 大冷 50,400 100,346,400 11,656,000,000 0.86%

こちらはほぼ1%台です。
ちなみに保有時価総額が5億円前後の銘柄も確認しましたが、3~6%程度でした。

所有率の傾向

所有率から言えるのは、総時価総額の大きい銘柄ほど所有率を多く設定していそう。
まあ、リスクを避ける意味でもこういう傾向になるのは理解できます。

こうしてみると、個別の業績等で比重の過多を決めているのではない印象。
総時価総額によってのみシンプルに購入ウェイトを決めているように思えます。
銘柄数が多いのでデータを見きれてませんが、ピックアップした中ではそんな感じ。

しかし、時価総額トップグループの銘柄を5~8%保有できる資金力にはビビります。

東証の市場別社数とGPIF購入社数

東証のプライム、スタンダード、グロース、PROの市場社数は以下の通り。

  • プライム:1,643社
  • スタンダード:1,604社
  • グロース:590社
  • TOKYO PRO Market:111社

全市場の社数は合計3,948社です。
それに対してGPIF保有銘柄数は2,253社。
1,695社はGPIFの購入から漏れているわけです。

漏れているのは?

プライムの銘柄の総時価総額のトップ50社と、少ない方から10社ほど確認しました。
全てGPIFの保有銘柄リストに入っています。
全部は見られていませんが、おそらくプライムは全購入なのだと思われます。

一方、グロース銘柄も何社かリストに入っているのも確認できました。
よって、スタンダードの中ではGPIFのリストから外れている会社も多いようです。
決算の数字が良くないのが理由か、自己資本比率が低いためなのか…
そうした何らかの理由で購入していないのかと思います。

それでも3,948社中の2,253社、57%は購入しているので厳しい判断基準ではなさそう。
我々個人投資家がみても購入を躊躇うような銘柄を外しているのではないでしょうか。

保有時価総額が1億円程度の銘柄の状況

上述の保有時価総額が1億円程度の銘柄のPBR、PER、配当利回りは以下の通りです。

No. 日本語名 PBR PER 配当利回り
2053 イーグランド 0.86 9.17 5.25%
2054 ベルテクスコーポレーション 1.55 12.82 2.47%
2055 星和電機 0.46 7.1 3.13%
2056 コーセーアールイー 1.69 7.3 3.09%
2057 eWeLL 10.81 24.6 0.90%
2058 ヤマトインターナショナル 0.4 20.9 4.75%
2059 双信電機 0.68 58.4
2060 ツカモトコーポレーション 0.35 31.7 2.54%
2061 ホクリヨウ 0.69 8.8 4.00%
2062 大冷 1.18 13.57 3.09%

結構、いろいろな指数の銘柄が入っています。
PBR、PER、配当利回りで何か選定基準を設けているようにも思えません。
やはり、これをみても特に不可の無い銘柄は全て購入しているのかなという印象です。

まとめ

結局、運用額がデカ過ぎること自体がGPIFの投資の縛りになっている印象です。
この運用額だと、できる限り多くの銘柄を購入せざるを得ないのでしょう。
ちょっと問題を抱えている企業だけを外し、あとは全購入。
そして、時価総額の高い優良企業を、より多くの比率で購入すると。

ただ、GPIFはエリート集団ですので、何か投資のキモはあるのだと思います。
それがどこで発揮されているのかは分かりませんが…
購入から外れている銘柄を詳細に見ればその辺りも多少は分かるのかも、ですね。

いずれにしても、こちらは弱小シニア投資家。
GPIFをまねて、東証銘柄の57%を購入するなどの超分散投資はできません。
ただ、時価総額に沿って機械的に分散するというやり方などは参考にできるかも。
私も思い入れのある銘柄に資金を集中させがちですので…
この際、ちょっとポートフォリオを見直してみようかと思います。

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