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58.年金の賦課方式から積立方式への移行 シンガポールモデルは実現可能か?

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年金の方式

以前のブログでも書きましたが年金には賦課方式と積立方式があります。
賦課方式は現役世代が収めたお金から年金が支給されます。
積立方式は自分が積み立てたお金をリタイア後に自分で受け取ります。

とはいえ、お金に色が付いているわけではありません。
なので、一旦国庫に入ればそんなきれいに分別できるのか少し怪しい気もします。
が、両方式には一応そういう建付けの差があります。

多くの国では賦課方式が採用されています。
そして日本と同様少子化が進む先進国では、受給年齢の引き上げなどの動きが…
フランスでも大規模なデモが起きていましたよね。

賦課方式は行き詰るのか?

人口が逆ピラミッドになっていく国では賦課方式の維持が厳しくなります。
大雑把に言うと受給年齢引き上げか、受給額減少しか手がなさそうです。
日本では先般、30年後でも現役時代の50%の年金額を維持できるとの発表が…
識者によるといろいろギミックがあり、世界基準の試算では30%台になるとか。
それでも一応、制度として維持可能なレベルにはあるようです。

しかし、いつまでもこの制度が機能するかというと怪しい限り。
まあ、それがあるから新NISAだのなんだのと国民に投資を勧めているわけですよね。

シンガポールの積立方式

シンガポールは積立方式を採用している珍しい国です。
シンガポールには強制積立制度があり、16歳以上の労働者は対象となります。
給与から天引きされ、自分のCPF(Central Provident Fund)口座に積立られます。
日本の厚生年金と同様、企業側にも支払い義務があります。
月給が約6万円以上の場合、雇用者負担は給与の20%、雇用主負担は給与の17%です。

そして、この積立金に対しては2.5~5%の利子がつきます。
ここまではなかなか、悪くない制度という感じですよね。
なんせ、日本国民の不満は現役世代の負担が高すぎること。
そして、自分たちが受給世代になったときに税金の担い手がいないのではという不安。
その点、積立方式なら自分で支払ったお金が確実に戻ってくるわけです。

積立方式のデメリット

賦課方式の場合、なんやかや他の税収で補ったりしています。
しかし、積立方式は財布がはっきりしている分、追加の補助は出ません。
自分が払った範囲で老後のやりくりが必要ということです。

また、インフレが高進した際には利率が負ける可能性があります。
賦課方式はこの部分でメリットがあるといわれていますね。
いわゆるマクロ経済スライドというヤツ。

マクロ経済スライドは平成16年の年金制度改正で導入。
賃金や物価の改定率を調整して緩やかに年金の給付水準を調整する仕組み。
現役世代の負担が過重なものとならないよう、保険料の水準を定めます。
そしてその中で年金の給付水準をゆっくりと調整していきます。
どこまできちんと機能しているのかは私にはよく分かりませんが…

まとめ

日本の若者が積立方式の方がいい、と声を上げても切り替えはそう簡単では無く。
まず、足元の原資が不足しており、一定の期間は賦課方式と積立方式の併用が必要。
余計に負担が大きくなるわけです。
消費税増税してその不足に充てるという手もありますが、まあ結局は負担増です。

なので、日本が積立方式になっていくのはなかなかハードルが高そうです。
GPIFの運用資金や、日銀のETFを原資として使ってもいいんでしょうけどね。
ただ一筋縄ではいかない印象です。

もし、積立方式になって、一律の金利以外にも運用機関を選べればいいですよね。
確定拠出年金的な感じになるのかな?
例えば、GPIFに預けるとかもできれば、なかなかいい感じではないでしょうか?

まあ、ここは政治家さんにいろいろ知恵を絞って頑張ってもらいましょう。
子供たちの世代にあまり苦労ばかりかけるわけにもいかないので。

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